with justice

2匹は俺のことで喧嘩をすることが多い。
だから、公平に接することにした。
バルドの料理を拒否するライのために俺が料理を作るとアサトが拗ねるから、アサトの分も用意する。
アサトが教えてくれた歌をうたうとライが良い顔をしないから、ライにも歌ってあげる。

どちらにも、同じだけ。

部屋も、俺が片方に留まるのは不公平なので、無理矢理ベッドを1つ入れて3匹部屋にした。
俺の意図を察した2匹は、俺がどちらかに何かをすると、同じことを要求してくるようになった。
俺を“共有”するようになってから、喧嘩はぐんと減った気がする。
それは良いことだと思ったんだけど…最近なんだかおかしい。
アサトが俺にじゃれついて抱きつくと、ライも俺を抱きしめてくる。
ライが俺の毛繕いをすると、アサトもしてくる。
ライやアサトがいきなり仕掛けてきただけで俺の意思ではないにしろ、“されて”しまったんだから、もう片方にもされないと不公平になるわけで…。

最近スキンシップが過剰になってきた2匹に、俺は困惑していた。




「ふう…」
夕飯を終えて部屋に戻ってきた3匹は、それぞれの寝台の上でくつろいでいた。
ライは窓際、アサトはドア側、コノエはその真ん中。
2匹部屋にむりやり寝台を1つ多く入れているため、休める場所は寝台の上に限られてしまった。
コノエが腕の毛繕いをしていると視線を感じ、その方へ向いてみる。
ライとアサト、どちらもコノエを見ていた。
…落ち着かない。
なんとなくいたたまれなくなり、毛繕いに集中する。
耳の裏を掻こうとした手を、ライが掴んだ。
「なに?」
「俺がしてやる」
「…え」
言うなり、ライはざり…とコノエの耳の裏を舐めた。
自分では届かない所をしてもらうのは気持良いし、有り難い。
けれど、ライがするということは…。
「お前がするのなら、俺もする」
アサトもコノエの寝台に乗りあげ、コノエの頬を舐めてきた。
「ちょ、ちょっと…」
コノエは慌てて逃げようとするが、前にはアサト、後ろにはライがいて、身動きがとれない。こうなるともう、2匹の好きにさせるしかなかった。
ライがうなじから耳にかけて、アサトが鎖骨から頬にかけて、丹念に毛繕いをする。
目をつぶってされるがままになっているコノエは、心地よさにくるると喉を鳴らした。
頬を舐めていたアサトの舌が、ぴたりと止まる。
「コノエ…」
呼ばれて目を開けると、目の前にはアサトの紺色の瞳。
何、と言う前に、唇を塞がれた。
「んっ…!?」
「…おい」
急なことに口を閉じることができなかったコノエの口内にアサトの舌が入り込み、舌の裏側を舐められる。
(そんな所に毛はない…!)
抗議しようにも口を塞がれていて叶わない。
舌先で牙を舐められ、くぐもった声をあげると、ライがコノエの頬に手をかけ、後ろに振り向かせた。同時にアサトの舌が抜ける。
「ん…」
急に口付けられたせいでできなかった息をする。落ち着いた所で、今度はライがコノエに口付けてきた。
「んん…っ!」
アサトのものより巧妙に動く、ライの舌。
歯列をなぞられ、コノエの尻尾と耳がビクビクと震える。
「は…っ」
唇が少し離れ、飲みきれなかった唾液が顎をつたう。ライはその唾液ごとコノエの顔を舐めあげると、再度口付けてきた。
「…っ」
コノエの身体の力が抜け、ライにもたれかかるようになる。ずり落ちないようにライの腕に手をまわすと、アサトが悔しそうな目で見てきた。
「コノエ…」
アサトの方に向きたくても、ライに上半身を拘束されていて身動きがとれない。
アサトは一瞬悲しそうに眉を下げたが、すぐに何かに挑むように瞳に炎を宿した。
「…!」
アサトがコノエの前掛けをほどき、下履きに手をかける。コノエの瞳が驚きに見開かれた。
いくらなんでも、そんな所まで毛繕いはされたくない。…すでにもう、何か違ってきているけれど。
アサトがコノエの内腿に舌を這わせると、コノエの身体がビクリと痙攣した。それでアサトのしてる事に気付いたライが唇を離す。
ライは文句を言うでもなく、コノエの首筋を舐め上げた。
「んぁっ…」
毛繕いではなく性的な意思をもった2匹の舌に、コノエが小さく声をあげる。
2匹にこんなことをされるのは初めてではない。
しかし、下だけを脱がされ、後ろから抱きしめてくるライにもたれかかり、アサトが開かれた脚の間に顔を埋める図は、まるで自分が淫乱みたいで羞恥心を煽られた。
「あ…、いやだ、恥ずかしい…」
「恥ずかしいだけか?」
「は…っ」
低い声と同時に、ライの舌が耳を這う。その声は完全に欲に濡れていた。
こうなると2匹を止める術はないと身をもって知っているコノエは、諦めて全てを委ねた。






「あ、あぁっ…」
ぐっと、肉棒が押し入る刺激に、コノエが仰け反る。
最初の体勢そのままに、コノエはライの熱を受け入れていた。
ライの膝の上に座るようにして、己の体重で飲み込んでいく。脚を閉じたかったが、ライに脚を掴まれていてそれも叶わない。
目の前にいるアサトに見せつけるように脚を広げ、雄を飲み込んでいく様子をまざまざと見られ、羞恥に身体が火照る。
恥ずかしさに手で顔を隠そうとすると、アサトがその手をつかんだ。
「コノエ…」
重なる唇。
アサトはコノエに口付けながら、コノエのものを扱きはじめた。
「んん、ん…っ」
コノエも手を伸ばし、アサトのものに触れる。それはすでに硬く張り詰めていた。
「…っ、コノエ…」
「ぁあっ」
コノエがアサトのものを擦りはじめたのと同時に、ライがコノエの腰をつかみ、下から突き上げ揺さぶりはじめた。
衝撃に、コノエはアサトに縋り付く。
「あ、ああ…っ、や…」
突かれる度に漏れる、甘い鳴き声。
耳もとでそんな声を聞かされていたアサトはたまらなくなり、コノエを引き剥がすと、広げられている脚をさらに広げ、ライと繋がっている部分に自分のものを押し付けた。
「え、あ、アサト!?」
アサトのしようとしている事に気付き、コノエが青ざめる。
(無理だ、絶対に無理…!)
同時に受け入れるなど、いままで経験がない。コノエは必死にやめさせようとするが、それを邪魔するかのようにライがコノエの最奥を突き、声を上げてしまう。
「ああ…っ」
その声と繋がる部分から漏れる水音に、アサトの限界が超えた。
アサトもコノエの腰をつかみ、既にライと繋がっている部分に己の雄を捩じ込んでいく。
「ああっ、無理だ、アサト…!」
自分の中に埋めこまれる物のあまりの質量に、コノエの瞳からぽろぽろと涙がこぼれる。アサトはすまなさそうにその涙を舐めとった。
「すまないコノエ…、抑えられない…」
「…っ!」
ずん、と一気に突かれ、あまりの衝撃に声が出ず、ひゅっとコノエの喉が鳴った。
「無理と言いながら、これはなんだ?」
ライが意地悪そうな笑みを浮かべ、2匹のものを受け入れてる蕾の入口を指の腹で撫でる。すると、コノエのそこはかなりの質量を含みながらも、やわらかく2匹を締め付けた。
「ん…や…っ」
「くっ…」
コノエに締め付けられ、アサトがコノエを突くのと同時に自分のものも擦られ、ライから余裕のない声が漏れる。
ライはコノエの背に舌を這わせながら、律動を再開した。
「あ、あっ、ん…っ、やぁ、壊れる…っ!」
2匹の闘牙に挟まれ、同時にめちゃくちゃに突かれ、快楽の刺激の強さに鳴き声と涙が止まらない。
2匹がより奧へと突き進んだと同時に、コノエは白濁を散らした。
「んあぁぁ…っ!」
「…っ」
「コノエ…っ」
ぎゅうっと締めつけられ、2匹もコノエの中へ、放った。








翌日の午後。
ドカァッと扉を蹴り開く音に、自室で休憩をとっていたバルドの太い尻尾が逆立った。
「な、なんだぁ?」
部屋から出ると、バタバタと階段を降りてくる複数の足音。
「おい、待て馬鹿猫!」
「コ、コノエ…!」
焦りの色を隠せないライの声と、泣きそうなアサトの声。
先に降りてきたのは、顔を紅潮させ怒り狂っているコノエだった。
そう、コノエは怒っていた。
ただでさえ無理をさせられたのに、普段と違うシチュエーションに燃えた2匹は1回だけでは満足せず、あの後また付き合わされたのだ。
もう無理だと泣いても許してもらえず、ほとんど意識が飛んでいても構わず突き上げられ続けた。
翌日の午後になってやっと立てるようになったコノエは無言で服を着替えると、ドアを蹴り開き、1階へと向かった。
さすがに2匹も尋常ではない様子に焦ったらしい。慌ててコノエを追い掛けて、そして今にいたる。
「おいおい、なんの騒ぎだ?」
バルドが声をかけると、コノエはキッとバルドに視線を向ける。そしてバルドに駆け寄った。
「今日はあんたの所に泊まる」
「は?」
「おい…!」
「コノエ!?」
状況を理解できてないバルドの背に隠れ、コノエは2匹を睨む。
2匹が抗議の声を上げたが、コノエは聞く耳をもたなかった。
「あんたたちと一緒にいると俺の身がもたない!!どっちとも一緒にいないんだったら公平だろ!」
文句は言わせないと、唸るコノエ。
それまで呆気にとられていたバルドだったが、コノエの発言に状況を察し、髭を撫でながらニヤニヤと笑った。
「そりゃ、暴走しがちな若い雄猫2匹いっぺんは辛いだろうなぁ。まあその点、俺は大人だから、安心していいぞ」
「?」
言葉の意味を理解していないコノエの肩に、バルドの手がまわる。
そのまま部屋に戻ろうとしたら、2匹の闘牙が同時に唸り声をあげた。
「ただ泊まるだけで済むはずがないだろう、馬鹿猫が!」
「コノエに触るな…!」
「おお?やるか?」
スラリと剣を抜く2匹に、バルドが陽気に応じる。


コノエは痛む顳かみを押さえると、3匹を放置し部屋に入り、足りない睡眠を補う為にシーツへと潜っていった。