バルドEDコノエ×ライ

何がどうしてこんな状況になったのか、よく覚えていない。
気がつけば床には酒瓶の山。そして床に寝そべる猫達。
アサト、バルド、トキノ、宿の近所に住んでいる猫…。
ああ思い出した。珍しく顔が揃い、明日は休みにするとどこかの髭猫がほざき、酒盛りに突入したのだ。
自分は拒否したのだが、すでに酔っていた(匂いに酔った)コノエにひっぱりだされたのだ。
他の猫達と違って自分があまり酔っていないのは、またたび酒によって早々に潰れたからだろう。酔いがまわるのも早いが覚めるのも早いタイプの酒らしい。

しかし覚めたからといって、この転がっている酔っ払いの面倒を見る義務もない。
ライは猫達を放って部屋に戻ろうとした。
が、自分の服を掴む手に気付いた。
その手を辿って見ると、それはコノエだった。
コノエはあまり飲んではいなかったが、匂いにやられたらしい。今でも部屋に充満する酒の匂いに酔っている。
意識はあるようで、ふにゃりとした目でライを見てくる。
「馬鹿猫、お前は部屋に戻れ」
「………………、?」
思考が働かず、言葉を意味として認識できていないらしい。さすがにこんな状態のコノエを放っておくわけにもいかず、部屋に連れていこうとした時。
「らぁい〜」
コノエがライの首に抱きつき、顔を擦りよせてきた。
「おい」
引き剥がそうとしても、どこにこんな力があるのか、ライにしがみついて全く離れようとしない。暖かいからか、くるくると喉まで鳴らす始末だ。
おまけにライの首筋に顔を寄せているものだから、顔と顔が近くていたたまれない。いつコノエの力が抜けて床に倒れるかわかったものではなく、肩に手をまわして支えると、すでに解けていた長い髪が指に絡んだ。
「らいぃ〜」
コノエは支えてもらっているのをいいことに身体の力を抜くと、あろうことか、ぺろぺろと頬を舐めてきた。毛繕いのつもりなのだろうか。
「お前…」
何の拷問なのか、これは。
しかし固まっている間に、コノエは好き勝手に顔や首を舐めてくる。やめさせとうと口に指を当てると、今度は指を舐めてきた。


ライは意識が戻ったとはいえ、酔っていないわけではない。
よって、正常な思考から若干逸れている。


コノエが舐めていた指でその顎を掴むと、出していた赤い舌に、自分のそれを絡めた。
「んっ……」
コノエも新しく与えられたものに、一生懸命舌を絡める。
ライの首にまわした手に力を込め、ライはコノエの後頭部に手をまわし、乱れた髪に指を入れた。
「…っは、ぁ……」
呼吸をさせる為に一度唇を離す。そしてコノエの顎や上唇に舌を這わせ、そのまま再度深く口付けた。
腰にまわしていた手を下に下げても、何をされているのかわかっていないコノエは全く抵抗をしない。
そのまま下肢に触れてみると、そこは硬く張り詰めていた。
「んぁ…っ」
衣服越しに触れるとコノエは唇を離して喘ぐ。やんわりと手に力を入れる度にその小さな身体がビクビクと痙攣し、甘い鳴き声をもらした。

(まずい………)

抑えがきかなくなっている自分に焦る。
こんなたくさんの猫が眠っている場所で抱くわけにはいかない。そもそも自分のつがいではないのだから、そんな事をしてはいけないのだが。
ライが僅かな理性と葛藤している間にコノエが焦れたのか。
ライの両肩を掴むと、勢い良く押し倒してきた。


急に反転した視界に驚く間もないまま、コノエがライの上にのしかかってくる。
その瞳は、完全に座っていた。

「おい、馬鹿猫!」
「…………ばかじゃ、ない…」
酔っぱらいと子供の底力はすごいもので、起き上がろうとしても全く動かない。
そうこうしているうちに、コノエが馬乗りになったまま、ライの衣服に手をかけ始めていた。
「おれだって、できる、んだ…」
「何が、だ」
嫌な予感がする。




「おれだって、おすなん…だ。されてばかりじゃなくて、するほうだってできる…!」




ライの酔いが一気に覚めた。
「やめろ、馬鹿猫!」
「いやだ、する!」
「だれがするか!!おい起きろ!!」
勢い良く起き上がったライの腰にしがみつくコノエを振りほどけないまま、近くで寝こけているバルドに怒鳴り声を浴びせる。

しかしそんな事で起きるわけもなく。




その後、ライがコノエに致されてしまったのか、それは本猫のみが知る…。